画像: Lording

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SPACE LIGHT SHUTTLE presented by IMG SRC 開催レポート

2019.04.15
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2019年3月26日~29日、東京・渋谷の「Galaxy-Gingakei」にて、光のシャトルが都市を超える新感覚バドミントン『SPACE LIGHT SHUTTLE(スペースライトシャトル)』の発表を兼ねたスポーツインスタレーションをおこないました。

バドミントンで都市と都市を繋げる!?

『SPACE LIGHT SHUTTLE』は、2020東京オリンピック・パラリンピックが迫るなか、スポーツを観戦するだけでなく、「新しいスポーツ体験」への関心が高まっていることに着目し生まれたインスタレーションとなります。発想の根底には、「既存の体験をアイデアとテクノロジーで今までにない体験へと発展させる」、「言葉のいらないコミュニケーションをリアルな場所で考える」というイメージソースが掲げるコンセプトがあります。そのうえで、今回選んだ体験テーマはバドミントン。

バドミントンは子どもから大人まで楽しめる親しみやすい競技であり、近年は日本人選手の活躍もあり高い注目を集めているスポーツです。高速のラリーが続く印象のある競技ですが、シャトルをラケットでヒットした瞬間の初速はプロであれば約400km近くのスピードが出る反面、相手コートにカーブを描いてたどり着く頃にはスローモーションのように終速が弱まるという、バドミントンには他の競技にはない特徴があります。

それらの特徴を加味して新しいスポーツ体験として発展させたのが、この『SPACE LIGHT SHUTTLE(スペースライトシャトル)』。光が交差し立体的に浮かび上がった「光のシャトル」をラケットで正確に打ち抜けば、映し出された街をシャトルが高速で駆け抜け、都市と都市をラリーでつないでいく。そんな新しい体験を得ることができます。

東京 VS ニューヨークなど、通信環境さえあればどんなに離れた場所でも、対戦が可能なのが大きなポイントです。対戦相手をリアルタイムで映像信号化し、表示することができるので、離れた場所の相手も身近に感じることができます。

SPACE LIGHT SHUTTLE 体験説明

1)素振りしたり、光のシャトルを打つと音、光、振動が連動するオリジナルデバイス(ラケット)を持ってコートに入ります。画面に「GO」のグラフィックが表示されたら体験スタート。

2)自在に動く7台のムービングライトが交差する位置とタイミングを見極め、ラケットを振り抜きます。すると、柱の4隅に取り付けられたモーションキャプチャーがラケットの角度、位置情報を読み取り、いかに光のシャトルを芯でとらえたか、さらにはインパクト時のスピード、方向などを瞬時にセンシングします。そこからリアルタイムで軌道を描画し、対戦相手に向けて光のシャトルが都市を駆け抜けていきます。

3)判定結果は、インパクトの瞬間をいかに芯でとらえたかとシャトルの最高速度を加味し、5段階で判定。点数を奪い合うのではなく、街と街を光のシャトルが飛び交うラリーの気持ち良さを体験するものとなっています。

4)最後にスマッシュの瞬間をとらえた自分の写真をQRコードで取得します。美しい弧を描いた軌道を他のプレイヤーと比較したり、画像でなければ可視化されない特別な体験を持ち帰ることができます。

前後左右に動いてインパクトさせる楽しさ

ラケットを振り抜くと手に振動が伝わり、きれいにインパクトするとシャトルは気持ちよく飛び出していく。あたかも実態をともなっているような感覚で、誰でも簡単にスポーツ体験ができるのが最大の特徴です。
また、デバイスを使う一般的なテニスゲームと違うのは、7台のムービングライトが交差する位置を目がけて振り抜くということ。つまり、その場に立ち尽くして手を動かすのではなく、前後左右に動きながらラケットを振り抜く。その感覚もまた、リアルさを増長するものとなっています。

使用機材は、スクリーン/スピーカー/ムービングライト/トラッキングシステム(モーションキャプチャー)/音、光(LED)、振動を搭載したオリジナルデバイス(ラケット)/カメラ/モニターとなります。

これらのテクノロジーは、「バドミントンを題材に、光のシャトルが街を駆け抜け、都市と都市をつなぐラリーができたら面白いのでは?」というアイデアを実現するために選ばれたものです。「技術ありきではなく、自分たちが面白いと思うアイデアを技術でカタチにする」というワークフローは、クライアントワークと似た作業ともいえます。イメージソースでは、課題解決には常に最新の技術をキャッチアップするだけでなく、自社でのR&D(商品開発)を積み重ねることも重要だと考えています。

今回、すべての機器を連動させ、さらには対戦させるという複雑なプログラミングはもちろん、ムービングライトが交差する位置を打つとシャトルが飛んでいくという動きを実現するため、実際に3Dバーチャルシステムを組んでシャトルを配置するという点に苦心しました。実現のためには、ムービングライトとラケットの関係性を構築し計算することがポイントとなります。また、デバイスとなるラケットは、ゲームの展開次第で色が変わるLED、手に直接伝わる触覚フィードバックを搭載。プロダクトとしての美しさにこだわりながら、各種センサーを内蔵させ、システムがスムーズに動くような工夫を施しています。

近未来感と親しみやすさを考えたデザイン

ヴィジュアルに関しては、バドミントンという親しみやすい題材と、SF的な近未来感のバランスを重視。ロゴはムービングライトを線に見立てたデザインで構成することで、光のシャトルが縦横無尽に飛んでいく様子を表現しました。
また、「どんな場所でも体験できる」ことを理解してもらうため、今回のインスタレーション体験会で投影した街は渋谷の街をソースにしているものの、あえて写実的にはせずに解像度を落としています。こちらは、必要に応じてより写実的でリアルな空間を生み出すことも可能です。もちろん、そのほかの部分もすべてをイメージソースが構築しているため、自由にカスタマイズすることができます。

イメージソースでは、これら実体験できる新しい作品発表の場を「オリジナルワークス」と呼んでおり、R&D(商品開発)の一環としておこなっています。日々精力的にクライアントワークを実行しながらも、自ら新しいアイデアを立案し、テクノロジーを駆使して作品をつくり上げていく。その絶え間ない活動が新しい発想を生み、どんな企画も効率よくワンストップでカタチにできるチームワークを育んでいます。