画像: Lording

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VRからAIまで新たなデジタル体験の可能性を探る!プロトタイピングの展示会
「IMG SRC PROTOTYPES VOL.02」
レポート

2018.04.25
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  • Exhibition
  • Report

※こちらの記事は株式会社D2Cが運営する自社マガジン「D2Cスマイル」の転載記事です。

こんにちは、D2Cスマイル編集部です。
D2Cグループのイメージソース(以下IMG SRC)(http://18.176.105.248/) にて2018年4月17日から20日まで開催された「IMG SRC PROTOTYPES」に行ってきました!

IMG SRCが得意とする、イベントなどのリアルな場での体験を支えるデジタルクリエイティブの数々。それらのプロトタイピングを継続的に発信していく実践と実験の場として、2回目を迎えたイベントが「PROTOTYPES」です。

これまで、このような場でクライアント企業の方や広告代理店のプランナーの方にご紹介したことがきっかけとなり、実際の広告キャンペーンやイベントで活用され、多くの生活者の目に触れることになったプロダクトも少なくないそう。まさに、デジタルクリエイティブの未来が垣間見られる本イベント。今回はここで展示された5つのうち、初公開の2つをメインにご紹介したいと思います!

Tangible Primitives
~デジタル体験を直感的なものに変える、未来のコントローラーのカタチ。

Tangible Primitivesを使った操作デモを体験する筆者

Tangible(触れて感知できる、有形の)Primitives(3Dグラフィックソフトで、モデリングに使われる基本形状。※1)と名付けられた、アクリル製のコントローラーは、主にイベント会場でのデジタル体験を直感的にサポートするためのインターフェースとして開発されたプロトタイプです。

コントローラーといえば、ボタンや十字キーを備えたゲーム機のコントローラーのようなものが一般的ですが、このTangible Primitivesは、普通のそれとは違い、アクリル製の箱やボールを使って直感的に操作を行います。球体(Sphere)、円柱(Cylinder)、立方体(Cube)の3つのコントローラーが、それぞれ形状に合わせて異なった機能を持っており、例えば球体を回すと方向を変えることができたり、円柱を回すと前進・後退、立方体の面をサイコロのように転がすとプレイモードが変更できたりします。

円柱のコントローラーをまわす動作は、音量ボタンを回す感覚に似ている

今回のデモでは、バーチャル空間の中で、物体を動かすというVRコンテンツの操作を体験することができました。体験者は、まずVRのヘッドマウントディスプレイを装着し、3つのコントローラーを手元に置きます。初めに、恐る恐る円柱を左にゆっくりと回してみたところ、目の前の3Dの物体が前に進み始めました。

「あっ、動いた!」。VRを体験されたことのある方ならおわかり頂けると思いますが、VRの中で実際に自分が操作したものが動き出すと、独特のうれしさがあります。

続けて、球体コントローラーをコロコロ回してみました。すると、目の前の3Dの物体は球体の回転する向きに合わせて上下左右あらゆる方向に進行方向が変わっていくではありませんか!これは、球体の特徴を活かすことで、3D空間を自由に動き回れる操作性を可能にしているとのこと。

立方体のコントローラーをサイコロ感覚で転がすと設定が変更できる

デモの説明をしてくださった、開発者でソフトウエアエンジニアの吉井さん(IMG SRC)に開発の背景を伺いました。

「このプロトタイプは、イベントなどの非日常空間での体験をサポートするインターフェースとして作成しました。非日常空間で使うことを想定しているので、必ずしも使いやすくて便利なものにはなっていませんが、その分、異質感や特殊さを大切にしてデザインしています。また、今回は『形状がなにか機能をもたらすか。』というテーマで設計しました。コントローラーである有形物には、ボタンはなく、シンプルな形状をしています。球をころがして方向を決められる、立方体の面を使って設定を変更できるなど、それらの形が持つ特徴を活かして操作ができるようになっているので、直感的な操作を可能にしています。今回はVR用のデモを作成しましたが、VRにこだわっているわけではなく、インスタレーションなどユーザーのデジタル体験をサポートする現場で汎用的に使えるデバイスだと思っています。」

RECog.mirror
~マーケティングやセキュリティだけじゃない、顔認証AIを使ったインタラクティブサイネージの可能性~

サイネージの前に立つと、数分前の自分の姿が投影された

RECog.mirrorは、顔認証AIを活用した、インタラクティブなサイネージです。顔認証AIは、顧客の属性や好みを判別し商品をレコメンドしたりクーポンを発行するといったマーケティング視点での活用法や、顔を識別してロックを解除するといったセキュリティ面での活用が目立ちますが、エンタメとしての活用事例がまだ少なく、面白い活用の可能性があるのではないか!?というきっかけで誕生したプロトタイプです。

カメラが設置されたインタラクティブサイネージの前に立つと、カメラが体験者の顔を認識しはじめます。一度、離れた後にもう一度サイネージの前に立つとあら不思議!先ほどの自分の姿が残像となって、目の前にあらわれました。まるで、自分が分身しているような不思議な映像が、自動的にどんどん生成されていく驚きの体験でした。

駅などの公共空間や、イベント会場、商業施設、会社の受付など、人が多く集まるところにこのようなサイネージがあると見せ方次第では、かなりユニークな企画ができるのではないか、そんな可能性を感じさせてくれるプロトタイプでした。

ここまででご紹介した2つの展示以外にも、「東京湾大感謝祭2017」「Media Ambition Tokyo 2018」で好評を博した、見えないボールをキャッチする体験型インスタレーション「INVISIBLE BALL」や、昨年NTTドコモ代々木ビルで開催された、新体感プロジェクションマッピングプロジェクト「YOYOGI CANDLE 2020」で実際に使用された、リアルタイムにスマホからの投稿メッセージを投影するインタラクションのデモ体験など、最近のプロジェクトの裏側を覗ける展示もありました。

INVISIBLE BALL
http://18.176.105.248/work/toppan-invisibleball/

YOYOGI CANDLE 2020
http://18.176.105.248/work/yoyogicandle2020/

IMG SRCでは、今回展示されたプロトタイピングを使った広告キャンペーンや、イベントなどの企画、プランニング、制作が可能とのこと。PROTOTYPESも定期的に開催を予定しているそうなので、最先端のデジタルクリエイティブを体験してみたいという方はぜひ次回足を運んでみてください。

※1 出典:ASCII.jpデジタル用語辞典